「好きよ、ウラ」 僕に身体を預けて擦り寄るようにするに僕は微笑んだ。僕にはありえないほどにこの言葉を彼女に向かって言うのは緊張する。 「僕も好きだよ」 この後は照れてすこし頬を赤くしてはにかんだ笑顔を僕に向けるんだ。それはいつものことだしの性格からして間違いない。はずだった。だけどが一度うつむいて僕に向けたのははにかみとはほど遠い完成された冷たい微笑み。冷たい何かが背中を伝った気がした。目の前の彼女は毎日のように顔を合わせているという人間のはずで先ほどまで確かにそうだったはずで、いやこれからもそうであるはずなんだけど、目の前にいる彼女はあまりにも僕の中のという人間がする表情には見えなかったから。それは次の一言でよりいっそう強くなる。僕は目の前の女性が誰なのかわからなくなった。 「嘘」 「嘘ってどうしたの」 「嘘。それ嘘だよね。私が好きなんて嘘でしょ?他の女の子たちについてる嘘と一緒なんでしょ?」 「そんなわけ」 「嘘。嘘吐き。ウラの嘘吐き」 「やめて」 「嘘嘘嘘嘘嘘。ウラが私に言ってることみぃ〜〜んな嘘なんでしょ?」 「っ」 耐え切れなくなって机を叩いた。するりとは僕の胸の中を抜け出して近くに立った。そのまま去っていってしまいそうで僕はとっさに腕を掴む。怖い苦しい痛い悲しい。何も考えたくなくなる。はなんて言った?僕を嘘吐きと罵ったんだ。急に息苦しくなってすってもすっても酸素が足りない気がしてきた。 「確かに、僕は嘘吐きだよ。だけど僕がに言った言葉に嘘はない。本当なんだ信じて、お願いだから、信じてよ」 振り絞って言った声はやけに震えていて可笑しい。なんでがこういうのかわからななかった。わかるほど頭が動いてくれなかった。この僕がたった一人の女の子からの言葉で此処までなるなんて、これも可笑しい。笑い出したくなるほどに。なのに顔はこわばってるし、なにより視界がにじんでる。これってつまり泣きそうになってるんじゃないかって思うんだ。 「嫌。信じたくない。すっごく嬉しいけど、信じていいのかわかんないよ」 「な、んで」 「さっきから言ってるでしょ?ウラ嘘吐きなんだもん」 「っ、、僕は本当に」 「嫌。黙って。だからね、決めたんだよ。私にね誓ったの」 僕はその先を知るのが怖かった。なにをいわれるのかわからなかったから。の唇の動きが怖い。発する声が怖い。耳を塞ぎたくてしかたがなかった。だけど僕は聞かなくちゃいけない。そんな気がして |