「日本さん」
私を見つけて微笑んだあの子は小さくてかわいらしくて、守ってあげなければいけないと思える存在だったというのに。背丈はあっというまに私を追い越し、首は太く、胸板は厚く、かわいらしいソプラノの声を低くして・・・あのころの可愛さはどこへいったのですか。
「日本さんを守りたくて置いてきたんですよ」
そう答える彼はあの頃よりずっと大きくなった手を差し伸べて、
あのころと変わらない微笑で私を呼ぶのです。
背中を押されて進む私はあの時に留まる事もできず、ひとと同じように進む事もできない