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鬼道有人という存在が佐久間にとってどれほど大きな存在であったか、一番近くにいたといっても過言でないこの私が知らないはずもなく、嫉妬すら無意味なんだと気がついたのはもうずいぶん前の話。
佐久間にとって私という存在が一体何なのか、本人に聞いたことがあった。恋人以外に何がある、とその質問自体が実に不愉快だといわんばかりに答えていたのもいい思い出。

そう、思い出。

どっかの港、いきなりつれてこられて不快この上ない。押し寄せてくる波に視線を落として海面に向けた足をぶらぶらさせて、あーあぁ潮風は髪をいためるのに。あんたの自慢の髪も痛むんじゃないの?そんなことを考えながら隣の男とは思えない容姿を見上げた。
何時の間に体は治ったんだろう。見慣れないユニを着て地面にしっかり立っている佐久間は、噴出してしまいそうになるぐらい唖然とした顔をしていた。何時の間にか眼帯は割れて、目が若干見えてる。あれほど取ることを嫌っていたのに。

「ねぇ、佐久間。なんでそんなに変わったの?」
「・・・・・・変わった?それはお前だろ
「変わったって佐久間も源田も。ちょっと前までそんな顔でサッカーしてなかった」
「なら、どうしてお前は変わった?どうして俺の隣にいない!」

さぁ、来い。そういわんばかりに差し伸べられた手を私は払うことで答えた。信じられ ないものを見るみたく佐久間の目は見開かれて、口がわなわなとふるえている。
なんで?そんな答え、簡単なのに。

「私はね、サッカーが好きな佐久間が好きなの。サッカーと鬼道有人とペンギンが死ぬほど好きな佐久間が好きなの」

今の佐久間は、嫌い。
そんな顔で、そんな目的で、そんな愛で、サッカーをする佐久間なんて、大嫌い。私は別にどっかのキャプテンみたいにサッカーが好きなわけじゃないけど。

「そうね、佐久間の言うとおり。佐久間が変わったみたいに、私も変わった。すくなくとも、今の佐久間の隣に居たくないって思うぐらいには」
「おい待て、、っ!」
私を呼ぶ声は聞こえないふりをして、背中を向けて走り出した。仲間の待つ、私の居場所へ。佐久間のいない、私の居場所へ。








離別はちっともありえなくない



ねぇ、愛しい人、貴方を苦しめるだけだったとしても誰かの代わりは嫌だったの



(as far as I know)(企画提出物)