>グラ→円の表現有り。グランとお父さんが酷いかもしれない。 「好きだよ、」 後ろから抱きしめてそう囁くと、は何時だってほろりと顔をほころばせて頬をピンクに染めてオレを見るんだ。なんて幸せそうに微笑むんだろうと微笑ましく思う反面、こう思う。 なんてバカなんだろう。 オレが毎日欠かさずこの真っ白い部屋に来るのは父さんが俺に頼んだからなのに。なんて優しい父さん!でもオレは知ってる。その“頼み”だってそう遠くない未来に此処から永遠にいなくなってしまうだろうカワイソウなのささやかなコイゴコロへの同情心だって。 同情心と偽善でこの子の幸せはできてるんだと思うと、哀れで哀れで仕方がない。だからオレは頼まれてもいないのに“愛”をささやくんだ。カワイソウなこの子のために。 「好きだよ、誰よ」 「グラン」 続けようとした言葉は唇に押し当てられた指で止まった。ぞくりとするぐらいに冷たい指先。が自分から触れてくることは本当にまれで驚いたのだけれど、それよりもオレを驚かせたのはその目だった。ぞくりとするぐらい、優艶な目。 「グラン、それは、だめ」 「?」 「それだけは、だめ」 だって、それが“ホント”になったら困るのはグランなんだよ? そう言っては困った顔して微笑んだ。何を、言ってるのか理解が追いつかない。と、首につめたいものがあたってびくりとした。それはの腕だった。オレの首に腕を絡ませてうすい体を押し付け密着させて、気がつけば息が届く距離にはいた。 「グラン、“嘘”って何回も何回も繰り返してると脳が混乱してね“ホント”だって思っちゃうんだよ。好きになるのはいいよ。だけどね、唯一にしちゃだめ。だって私は、死ぬんだから。それに、」 守って子が好きなんでしょう? 底の見えない黒の奥でこれでもかと目を見開いたオレが見えた。 |